Amazon Mechanical Turk(アマゾン・メカニカルターク)は、WebインターフェースやAPIを通じて、色々な仕事を世界中の人に依頼することができるクラウドソーシングサービスです。よく「MTurk」と略されます。AIや機械学習が進化していますが、美しさの評価やアンケートなど人間にしかできない仕事はたくさんあります。そんな人間でしかできない仕事を機能として、アプリやWebサービスにAPIで組込むことができるのが Amazon Mechanical Turk の魅力です。そこで今回は、Amazon Mechanical Turk の使い方を簡単にまとめてみました。
Amazon Mechanical Turk の利用登録
Amazon Mechanical Turk 利用登録には、米国の amazon.com のアカウントが必要です。(日本の amazon.co.jp のアカウントでは登録できません)新規で作成するか、AWS を利用されている方なら AWS の登録時に amazon.com のアカウントも作成されていますので、そちらを使うのがよいでしょう。
Amazon Mechanical Turk の利用登録には、作業を依頼する「リクエスター」としての登録と、依頼された作業を行う「ワーカー」としての登録の2つ種類があります。
Amazon Mechanical Turk 利用登録ページ
今回はリクエスターとして作業を依頼しますが、依頼した作業がどのようにワーカーに表示されているかを確認するため、リクエスターとワーカーの両方を登録しておきます。(登録には氏名や住所を英語で入力する必要があります)
リクエスターとワーカー共に登録は問題なくできるのですが、ワーカーとして作業することは許可されませんでした。(日本の住所の場合は許可されないケースが多いようです)
ワーカーとして作業は許可されませんでしたが、HIT(Human Intelligence Tasks)と呼ばれるリクエスターが依頼した作業の一覧は見ることができます。「Preview」をクリックすると HIT の作業内容が見れますので、自分がリクエスターとして作業を依頼する時の参考になると思います。
下準備
Amazon Mechanical Turk の利用登録が終わったらリクエスターとしてログインします。
リクエスター名の設定
amazon.com に登録した名前がそのままリクエスター名としてワーカーに表示されます。気になる場合は、右上の「My Account」をクリックして Name を変更しておきましょう。
報酬のチャージ
同じく「My Account」の画面でワーカーに支払うための報酬をチャージしておきます。チャージは1ドルから可能です。
プロジェクトの作成
今回は、下の写真になにか面白いタイトルを付けてもらう作業を依頼してみます。作業は「プロジェクト」と呼ばれる単位でワーカーに依頼します。
「Create」→「New Project」をクリックします。
プロジェクトのテンプレートが表示されますので、依頼したい作業に合ったテンプレートを選択します。今回は「Image Summarization」をベースにプロジェクトを作成します。テンプレートを選択したら「Create Project」をクリックします。
Enter Properties
プロジェクトの内容の入力画面が表示されます。プロジェクト名を入力し、作業のタイトル、説明、検索用のキーワードを入力します。ここに入力した内容が作業の説明としてワーカーに表示されますので、分かりやすい内容で入力しましょう。(次に続きます)
ワーカーへの報酬や作業時間を設定します。(次に続きます)
Reward per assignment
ワーカーへの報酬額の設定です、これが一番の悩みどころだと思います。補足には「ワーカーに提示する作業時間(Time allotted per assignment)を考慮するように」とありますので、1時間あたり6ドル、1分10セントで設定することにしました。
Number of assignments per task
何人のワーカーに作業を依頼したいかを設定します。
Time allotted per assignment
作業にかかる最大の時間を設定します。
Task expires in
作業の有効期限を設定します。
Auto-approve and pay Workers in
ワーカーが作業を完了した後に、リクエスターはその作業を承認(または拒否)する必要があるのですが、ここで指定した時間を経過すると自動で承認されます。
続いて、必要に応じてワーカーの条件を指定します。設定が終わったら「Design Layout」をクリックします。
Require that Workers be Masters to do your tasks
Mechanical Turk マスター資格を持つ優秀なワーカーに作業を依頼する場合は「Yes」を選択します。(報酬の5%の別途料金がかかります)
Specify any additional qualifications Workers must meet to work on your tasks
ワーカーの年齢や居住地など条件を指定できます。こちらも別途料金が発生します。(料金表:Amazon Mechanical Turk Pricing)
Project contains adult content
作業にアダルトコンテンツの閲覧などが含まれる場合はチェックします。
Design Layout
テンプレートを編集して、ワーカーに表示する作業の説明文や画像を設定します。編集が終わったら「Preview」をクリックします。
Preview and Finish
プレビューを確認して問題がなければ「Finish」をクリックします。(クリックしても、まだ作業は依頼されません)
ワーカーへの作業依頼の実行
以上でプロジェクトが作成されました。プロジェクトは再度内容を編集したり、複製してテンプレートのように使うこともできます。
いよいよワーカーへの作業依頼の実行です、「Publish Batch」をクリックすると最終確認のためのプレビューが表示されます。問題がなければ「Next」をクリックしてください。
最後にプロジェクトの内容や、ワーカーおよび Amazon への手数料を含んだ料金が表示されます。間違いがないことを確認できたら「Publish」をクリックします。以上でワーカーへの作業依頼が実行されました。
作業依頼が実行されると、プロジェクト詳細画面に移動します。作業の進捗状況などが確認できます。
ワーカーとして Amazon Mechanical Turk にログインすると、依頼したプロジェクトを確認できました。(ただ、すべてのプロジェクトが表示されるのでは無いようですので、確認できない場合もあるかと思います)
作業結果の確認と承認
今回は、20分ほどで作業が完了しました。「Manage」画面に表示されているブロジェクトの「Review Results」をクリックして作業結果の確認と承認を行います。
わずか10セントの報酬でしたが、Bushy girls(ふさふさした女の子)や、 I NEED MY HAIR DONE(髪の毛を整えてほしい)のようになかなか面白いタイトルを付けてくれました。特に問題がなければ「Approve All」をクリックして作業結果を承認します。(個別に承認または拒否することもできます)
また、ワーカーのIDをクリックすると(上のスクリーンショットではマスクしています)特に良い作業をしてくれたワーカーにボーナス報酬を支払うこともできます。(逆にもう作業を頼みたくないワーカーはブロックすることができます)
今回は、一番面白いタイトルを付けてくれたワーカーに少しですがボーナス報酬を支払いました。
おわりに
他のリクエスターの依頼している作業を見てみると、Webサイトからの情報収集やアンケート、レシートや請求書の書き出しなどが多いようです。日本からもワーカーとして参加できるようになるといいですね。
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