2018年5月10日 CentOS7.5 (1804) がリリースされました。RHEL7.5のリリースからちょうど1ヶ月でのリリースになります。前バージョンCentOS7.4(1708)のリリースからは8ヶ月ぶりのバージョンアップです。今回のバージョンアップでは、脆弱性スキャナーの OpenSCAP が Ansible に対応しセキュリティの自動化を可能にしています。また、httpd モジュール mod_ssl の SSLv3 のサポートが無効になり(新規インストールの場合のみ)rsync が久しぶりにバージョンアップされ 3.1.2 になっています。さっそく、CentOS7.5 で LAMP構成をインストールする手順をメモしておきました。
- CentOS 7.5 (1804) リリースノート
- CentOS 7.5 (1804) のダウンロード
- マシン構成
- CentOS 7.5 (1804) のインストール
- ネットワーク関連設定
- 基本パッケージのインストール
- yum アップデート
- 不要サービスの停止
- SELinux無効設定
- firewalld設定
- Chrony設定(NTP)
- Gmailリレー設定
- yum リポジトリの追加
- 各種ミドルウェアインストール
- Apache httpd の設定
- 自己署名のサーバー証明書の作成(HTTPS用)
- Apache HTTPS(SSL/TLS)の設定
- PHPの設定
- Memcachedの設定
- MySQL 8.0 の設定
- ログローテーション設定
- 自動起動の設定確認
CentOS 7.5 (1804) リリースノート
- CentOS-7 (1804) リリースノート
- Release Notes for Red Hat Enterprise Linux 7.5(英文)
- Red Hat Enterprise Linux 7.5 リリースノート
CentOSのリリースノートを見ると、タイトルに「7.5」という表記は無く、CentOS-7 (1804) となっていますが、この記事では都合上、CentOS7.5 と表記しています。
CentOS 7.5 (1804) のダウンロード
はじめに、CentOSのダウンロードページから CentOS-7-x86_64-DVD-1804.iso をダウンロードしておきます。
マシン構成
○仮想マシン構成
メモリ:1024MB
○ネットワークデバイス
アダプター1:NAT
アダプター2:ホストオンリーアダプター
○ネットワーク構成(※ご自分の環境に書換えてください)
ホスト名: centos75
IPアドレス:192.168.56.201/24
DNSサーバ: 8.8.8.8
CentOS 7.5 (1804) のインストール
[CentOS 7]
[↑]キーで「Install CentOS 7」を選択して、エンターを押します
[WELCOME TO CENTOS 7.]
「日本語 Japanese」「日本語」を選択して「続行」をクリックします
[インストールの概要]
「インストール先」をクリックし、インストール先のデバイスを選択して「完了」
上記の設定が済んだら「インストールの開始」をクリック
パーティションの作成とインストールが開始します
[ユーザーの設定]
「rootパスワード」をクリックし、パスワードを設定したら「完了」
~~~ インストールが完了するまでしばらく待ちます ~~~
[完了しました!]
「再起動」をクリックします
ネットワーク関連設定
NICの設定
・ネットワークデバイス名の確認
nmcli dev s
DEVICE TYPE STATE CONNECTION enp0s3 ethernet disconnected -- enp0s8 ethernet disconnected --
アダプター1(NAT)は「enp0s3」、アダプター2(ホストオンリーアダプター)は「enp0s8」がネットワークデバイス名です。 ネットワークデバイス名は、環境によって異なるようです。ご自分の環境にあわせて設定してください。
アダプター1(NAT)の設定
アダプター2(ホストオンリーアダプター)の設定(設定が反映されるまで1分ほどかかります)
nmcli con mod enp0s8 ipv4.addresses "192.168.56.201/24"
nmcli con mod enp0s8 ipv4.method manual
上記設定で sshログインができるようになります。※DNSサーバの設定前のため、ログインに時間がかかることがあります
DNSサーバの設定
手動で設定するため、DHCPでのDNSサーバ設定を無効にします。
DNSサーバを設定し、NetworkManager を再起動します
systemctl restart NetworkManager
・DNSサーバが設定されていることを確認します
cat /etc/resolv.conf
nameserver 8.8.8.8
ホスト名の設定
ホスト名「centos75」を設定し、hostnamed を再起動します
systemctl restart systemd-hostnamed
基本パッケージのインストール
開発ツールなど、基本的なパッケージをインストールしておきます。
yum -y groupinstall development
yum -y groupinstall network-tools
yum アップデート
インストール済みのパッケージを、最新版にアップデートします。
不要サービスの停止
下記のコマンドを実行
systemctl disable abrt-oops
systemctl disable abrt-vmcore
systemctl disable abrt-xorg
systemctl disable abrtd
systemctl disable atd
systemctl disable auditd
systemctl disable avahi-daemon
systemctl disable kdump
systemctl disable mdmonitor
systemctl disable dmraid-activation
SELinux無効設定
・下記を変更
vim /etc/sysconfig/selinux
↓
SELINUX=disabled
OSを再起動します
firewalld設定
・現在の設定の確認
firewall-cmd --list-all
interfaces: enp0s3 enp0s8
sources:
services: dhcpv6-client ssh
(略)
初期設定では publicゾーンに ssh のみ許可されています。
追加で HTTP(80/tcp) と HTTPS(443/tcp) を許可しておきます
firewall-cmd --add-port=443/tcp --permanent
設定を読込みます
・設定を確認します
firewall-cmd --list-ports --zone=public
-----(以下のような表示があればOK)-----
Chrony設定(NTP)
初回は手動で時間合わせをします
オリジナルのコンフィグをバックアップ
・コンフィグを作成
vim /etc/chrony.conf
server ntp.nict.jp
server ntp.nict.jp
起動
自動起動設定
・10分ほど経過したら動作を確認します。
chronyc sources -v
-----(以下のような表示があればOK)-----
^- ntp-b2.nict.go.jp 1 6 77 61 +1423us[+1423us] +/- 3830us
^* ntp-a2.nict.go.jp 1 6 77 62 +269us[ +547us] +/- 4458us
Gmailリレー設定
・GmailのSMTP認証情報ファイルの作成
vim /etc/postfix/gmail
パスワードを書いているので、パーミッションを変更(root のみアクセス可)
PostfixのDBファイルを生成
・Postfixの設定
vim /etc/postfix/main.cf
-----(下記を最終行に追加)-----
smtp_sasl_auth_enable = yes
smtp_sasl_password_maps = hash:/etc/postfix/gmail
smtp_sasl_security_options = noanonymous
smtp_sasl_tls_security_options = noanonymous
smtp_sasl_mechanism_filter = plain
smtp_use_tls = yes
設定した内容を読込みます
・root宛メールの送信先を変更します
vim /etc/aliases
-----(下記を最終行に追加)-----
メールエイリアスのDBファイルを更新します
root宛のメールが、Gmailのアドレスに届くことを確認します
yum リポジトリの追加
EPEL
yum -y update
Remi
rpm --import http://rpms.famillecollet.com/RPM-GPG-KEY-remi
MySQL
・Remi リポジトリを有効化
vim /etc/yum.repos.d/remi.repo
(略)
enabled=0
↓
enabled=1
vim /etc/yum.repos.d/remi-php72.repo
(略)
enabled=0
↓
enabled=1
【補足】
現時点で一番サポート期間の長いPHP7.2をインストールします。PHP5.6をインストールしたい場合は、remi-php56 リポジトリを有効にしてください。
vim /etc/yum.repos.d/remi.repo
(略)
enabled=0
↓
enabled=1
各種ミドルウェアインストール
※バージョンは2018年5月11日時点のものです。
Apache httpd(2.4.6-80)
yum -y install mod_ssl
PHP(7.2.5-1)
yum -y install php-devel
yum -y install php-pdo
yum -y install php-mysqlnd
yum -y install php-mbstring
yum -y install php-gd
yum -y install php-pear
yum -y install php-pecl-apc-devel
yum -y install zlib-devel
(補足)PHP7.2 で php-mcrypt はコアから削除されました。OpenSSL関数を使いましょう。
MySQL(8.0.11-1)
yum -y install mysql-community-server
Memcached(1.5.7-1)
yum -y install php-pecl-memcache
Apache httpd の設定
不要なコンフィグを読込まないようにしておきます。
mv -i /etc/httpd/conf.d/userdir.conf /etc/httpd/conf.d/userdir.conf.org
mv -i /etc/httpd/conf.d/welcome.conf /etc/httpd/conf.d/welcome.conf.org
オリジナルのコンフィグをバックアップ
・コンフィグを作成します。
vim /etc/httpd/conf/httpd.conf
起動
自動起動設定
自己署名のサーバー証明書の作成(HTTPS用)
秘密鍵の作成
・CSR(証明書署名要求)の作成(入力するのは2箇所だけです)
openssl req -new -key server.key > server.csr
State or Province Name (full name) []:<空エンター>
Locality Name (eg, city) [Default City]:<空エンター>
Organization Name (eg, company) [Default Company Ltd]:<空エンター>
Organizational Unit Name (eg, section) []:<空エンター>
Common Name (eg, your name or your server's hostname) []: www.example.com
Email Address []:<空エンター>
Please enter the following 'extra' attributes
to be sent with your certificate request
A challenge password []:<空エンター>
An optional company name []:<空エンター>
自己署名のサーバー証明書の作成(有効期限10年)
秘密鍵とサーバー証明書を適切な場所に移動
mv -i server.crt /etc/pki/tls/certs/
パーミッションを変更
chmod 600 /etc/pki/tls/certs/server.crt
CSRを削除
Apache HTTPS(SSL/TLS)の設定
SSL設定ファイルのオリジナルをバックアッップします
SSL設定ファイルを作成します。
vim /etc/httpd/conf.d/ssl.conf
関連記事:安全な SSL/TLS 設定にするための10のポイント(Apache httpd 2.4)
httpd を再起動します。
WEBブラウザで HTTPSで接続できることを確認します(自己署名のサーバー証明書の場合は警告が表示されます)
PHPの設定
エラーログの出力先を作成
chown apache /var/log/php
chmod 755 /var/log/php
・PHPの設定
vim /etc/php.ini
↓
expose_php = Off
;date.timezone =
↓
date.timezone = 'Asia/Tokyo'
error_reporting = E_ALL & ~E_DEPRECATED & ~E_STRICT
↓
error_reporting = E_ALL & ~E_NOTICE
;error_log = php_errors.log
↓
error_log = "/var/log/php/php_errors.log"
・セッションの保存先をmemcacheに設定
vim /etc/php.d/40-memcache.ini
↓
session.save_handler=memcache
;session.save_path="tcp://localhost:11211?persistent=1&weight=1&timeout=1&retry_interval=15"
↓
session.save_path="tcp://localhost:11211"
vim /etc/httpd/conf.d/php.conf
php_value session.save_path "/var/lib/php/session"
↓
#php_value session.save_handler "files"
#php_value session.save_path "/var/lib/php/session"
Memcachedの設定
vim /etc/sysconfig/memcached
運用で様子をみて適度に変更(CACHESIZEの単位はMBです)
USER="memcached"
MAXCONN="1024"
CACHESIZE="64"
OPTIONS=""
起動
systemctl reload httpd
自動起動設定
MySQL 8.0 の設定
ログの出力先を作成
chown -R mysql:mysql /var/log/mysql
オリジナルのコンフィグをバックアップします
・コンフィグを作成します。
vim /etc/my.cnf
datadir=/var/lib/mysql
socket=/var/lib/mysql/mysql.sock
slow_query_log=ON
slow_query_log_file=/var/log/mysql/slow_query.log
long_query_time=1.0
log-error=/var/log/mysql/mysqld.log
pid-file=/var/run/mysqld/mysqld.pid
log_timestamps=SYSTEM
skip-character-set-client-handshake
character-set-server=utf8mb4
explicit_defaults_for_timestamp=ON
MySQL 8.0 の大きな変更点として、デフォルトの文字セット(character-set-server)が、latin1 から utf8mb4 に変わりました。また explicit_defaults_for_timestamp の初期値が ON(OFFは非推奨)になっています。(なのでこの2行は設定しなくても構いません)
MySQL 8.0 では他にも default-authentication-plugin などの初期値(Default Value)が変更されていますので、公式マニュアルで確認しておくことをオススメします。
公式マニュアル:5.1.7 Server System Variables | MySQL 8.0 Reference Manual
起動
自動起動設定
mysql_secure_installation の実行
・root ユーザーの初期パスワードの確認(初期パスワードはそのまま使うことはできませんので変更が必要です)
grep password /var/log/mysql/mysqld.log
この後に設定する root ユーザーの新しいパスワードは、8文字以上で英数大文字小文字と記号が含まれていないとポリシー違反で弾かれてしまいますので注意です。
参考資料:6.5.3.2 Password Validation Options and Variables | MySQL 8.0 Reference Manual
mysql_secure_installation コマンドに「--use-default」オプションを付けてを実行します。root ユーザーのパスワード変更や不要なユーザーやDBを削除してくれます。
(略)
Enter password for user root: <初期パスワード>
The existing password for the user account root has expired. Please set a new password.
New password: <新しいパスワード>
Re-enter new password: <新しいパスワード>
(略)
ログローテーション設定
設定ファイルのバックアップ用ディレクトリを作成しておきます。
Apacheログのローテーション設定
オリジナルの設定ファイルをバックアップします
・設定ファイルを作成します
vim /etc/logrotate.d/httpd
/var/log/httpd/*log /var/log/php/*log { daily missingok dateext rotate 60 create 644 apache apache sharedscripts postrotate /bin/systemctl reload httpd.service > /dev/null 2>/dev/null || true endscript }
・確認します
logrotate -dv /etc/logrotate.d/httpd
-----(下記のような表示であればOKです)-----
Handling 1 logs
rotating pattern: /var/log/httpd/*log /var/log/php/*log after 1 days (60 rotations)
empty log files are rotated, old logs are removed
(略)
MySQLログのローテーション設定
オリジナルの設定ファイルをバックアップします
・設定ファイルを作成します
vim /etc/logrotate.d/mysql
/var/log/mysql/*log { daily missingok dateext rotate 60 sharedscripts postrotate if test -x /usr/bin/mysqladmin && \ /usr/bin/mysqladmin --defaults-extra-file=/root/.my.cnf ping &>/dev/null then /usr/bin/mysqladmin --defaults-extra-file=/root/.my.cnf flush-logs fi endscript }
・MySQL の root ユーザのパスワードファイルを作成
vim /root/.my.cnf
user=root
password="<パスワード>"
パスワードを書いているのでパーミッションを変更
chmod 600 /root/.my.cnf
・確認します
logrotate -dv /etc/logrotate.d/mysql
-----(下記のような表示であればOKです)-----
Handling 1 logs
rotating pattern: /var/log/mysql/*log after 1 days (60 rotations)
empty log files are rotated, old logs are removed
(略)
自動起動の設定確認
systemctl list-unit-files | grep -e httpd -e mysqld -e memcached -e chronyd
-----(下記のような表示であればOKです)-----
httpd.service enabled
memcached.service enabled
memcached@.service disabled
mysqld.service enabled
mysqld@.service disabled
一度OSを再起動して、各種サービスが起動している事を確認しましょう。
ps aux | grep -e httpd -e mysqld -e memcached -e chronyd
以上です。設定お疲れ様でした!
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