Ubuntu Server 24.04 LAMP環境インストールメモ【Apache2.4+MySQL8.0+PHP8.3】

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Ubuntu(ウブントゥ)は、Debian をベースに開発されている Linuxディストリビューションのひとつです。Ubuntu といえばデスクトップ版のイメージがありますが、サーバー版の Ubuntu Server も Webサイト向けの Linuxディストリビューションとして圧倒的なシェアを誇っています。また Ubuntu Server は、利用可能なソフトウェアパッケージが多く比較的バージョンが新しいのが魅力です。そこで今回は、Ubuntu Server 24.04 で LAMP環境(Apache2.4/MySQL8.0/PHP8.3)をインストールする手順をまとめてみました。

マシン構成

Ubuntu Server のインストールドキュメントで推奨されているシステム要件は次の通りです。

  • RAM:2GB以上
  • ディスク:5GB以上

今回は UTM の仮想マシンに Ubuntu Server 24.04 をインストールします。

■仮想マシン構成
 メモリ:4096GB
 CPU:4コア
 ドライブのサイズ:64GB

Ubuntu Server 24.04 LTS のインストール

今回はホストマシンが Appleシリコン(ARMアーキテクチャ)の macOS のため、Ubuntu のダウンロードページ から Ubuntu Server 24.04 LTS(Long Term Support = 長期サポート版の略称です)の ARM版をダウンロードしています。ご自分のホストマシンのアーキテクチャに合わせてダウンロードしてください。(ページ上部にある Ubuntu Desktop はダウンロードしないように注意してください)

Ubuntuのダウンロードページ

UTMの仮想マシンの「起動ISOイメージ」にダウンロードした Ubuntu Server の ISOイメージファイルを追加して仮想マシンを起動します。

UTMの仮想マシンの起動ISOイメージ設定画面

ブートローダ画面が表示されたら「Try or Install Ubuntu Server」を選択してエンターキーを押します。

ブートローダ画面

Ubuntu Server のインストーラーが起動したら言語を選択します。インストーラーは日本語に対応していませんので「English」(もしくはお好みの言語)を選択してエンターキーを押します。

以下のような画面が表示されたら(表示されない場合もあります)「Update to the new installer」を選択してエンターキーを押します。矢印キーもしくはタブキー(シフト+タブキーで逆に移動できます)で項目を移動できます。

キーボードの設定です。項目を「Layout」に移動して「Japanese」を選択します。選択したら「Done」に移動してエンターキーを押します。

「Ubuntu Server」にチェックが入っていることを確認して、エンターキーを押します。(下の「minimied」は、クラスター構成のように人間がサーバーに直接ログインしないような環境を構築する場合に選択します)

IPアドレスはDHCPで自動設定されますので、表示されているIPアドレスをメモしておきましょう。

プロキシーサーバーの設定です。必要がなければそのままエンターキーを押します。

パッケージなどのダウンロード元となるミラーサーバーの設定です。少し待つと自動で近くのミラーサーバーが設定されますので、そのままエンターキーを押します。

HDDなどのストレージの設定です。必要に応じて暗号化やパーテーションを手動で設定できます。特にこだわりがなければそのまま「Done」に移動してエンターキーを押します。

ストレージの設定の確認画面です。内容を確認して問題がなければそのままエンターキーを押します。

「ストレージのデータが消えるけど大丈夫?」の旨が表示されます。問題がなければ「Continue」に移動してエンターキーを押します。

ユーザーアカウントとホスト名の設定です。「Your server's name」がホスト名、「Pick a username」がユーザー名です。ユーザー名は admin や adm などありがちな名前は設定できないようになっていますのでオリジナルのユーザー名を設定しましょう。

Ubuntu Pro(エンタープライズ向けの有償サポート)に関する設定です。利用しない場合はそのままエンターキーを押します。

SSHの設定です。スペースキーを押して「Install OpenSSH server」にチェックを入れ、「Done」に移動してエンターキーを押します。

インストールするパッケージを必要に応じて選択してください。今回はなにも選択せずそのまま「Done」に移動してエンターキーを押します。(インストールが開始します)

インストールが終わるまでしばらく待ちます。

インストールが終わると「Reboot Now」に表示が変わりますので移動してエンターキーを押して再起動します。

再起動できない場合や再度インストーラーが起動してしまう場合は、一度仮想マシンの電源を一度オフにして、仮想マシンに追加した ISOイメージファイルを削除してから仮想マシンを起動してください。

以下の画面が表示されていれば起動完了です。(表示されない場合はエンターキー押してみてください)

ホストマシンから SSHでログインできることを確認してください。

ssh uadmin@192.168.64.6

コマンドラインで Ubuntu Server の各種設定やミドルウェアのインストールを行うのですが、ほとんどの操作は root 権限が必要になるためコマンドの先頭に sudo を付ける必要があります。

そのため、以下のコマンドで root になって作業を進めます。いちいち sudo を打ち込まなくてよくなるので楽なのですが、ログにコマンド履歴が残らないとういデメリットもあります。サーバーの運用が始まったら sudo を使うことをオススメします。

sudo -s

パッケージのアップデート

インストール済みのパッケージを、最新版にアップデートします。

apt -y update
apt -y upgrade

パッケージのアップデートによりサービスの再起動が必要な場合は、以下のような画面が表示されます。タブキーで「OK」に移動して、エンターキーを押してください。

OSを再起動します

shutdown -r now

ufw(ファイアウォール)設定

初期状態では ufw(ファイアウォール)が無効になっていますので、許可するポートを設定してから有効にします。

ufw status
Status: inactive ←無効

SSH(22)と WEBアクセス(80 と 443)ポートを許可します。

ufw allow 22
ufw allow 80
ufw allow 443

ufw を有効化します。「SSH接続ができなくなるかもよ!」と聞いてくれます。SSH(22)ポートは許可していますので「y」を入力してください。

ufw enable
Command may disrupt existing ssh connections. Proceed with operation (y|n)? y

ufw が有効になっていることを確認します。

ufw status
Status: active ←有効

To                         Action      From
--                         ------      ----
22                         ALLOW       Anywhere                  
80                         ALLOW       Anywhere                  
443                        ALLOW       Anywhere                  
22 (v6)                    ALLOW       Anywhere (v6)             
80 (v6)                    ALLOW       Anywhere (v6)             
443 (v6)                   ALLOW       Anywhere (v6)  

日時設定(timesyncd)

タイムゾーンを日本に変更します。

timedatectl set-timezone Asia/Tokyo

参照する NTPサーバーを指定します。複数設定する場合は半角スペース区切りで指定します。
vi /etc/systemd/timesyncd.conf

#NTP=
 ↓
NTP=ntp.nict.jp 0.jp.pool.ntp.org 1.jp.pool.ntp.org 2.jp.pool.ntp.org 3.jp.pool.ntp.org

timesyncd を再起動します。

systemctl restart systemd-timesyncd

NTPサーバーと同期していることを確認します。

timedatectl status
(略)   
System clock synchronized: yes ←同期OK           
              NTP service: active                     
          RTC in local TZ: no   

メール送信設定(Gmail経由)

サーバーから Gmail 経由でメールを送信できるように設定します。(必要がなければこの設定は不要です)

Postfix のインストール

メールサーバーの Postfix をインストールします。

apt -y install postfix

Postfix をどのように構成するか聞かれます。初期値の「Internet Site」で構いませんので、そのままタブキーで「OK」に移動して、エンターキーを押してください。

送信元に表示されるメールアドレスのドメイン名の設定です。そのままタブキーで「OK」に移動して、エンターキーを押します。(本来はメッセージの通り FQDNである必要がありますが、Gmail を経由する場合は送信元メールアドレスが Gmail のメールアドレスに書き換えられますのでそのままで構いません)

Postfix の設定

Googleアカウントの設定、および Postfix の設定手順は以下の記事をご参照ください。

PostfixからGmail経由でメールを送信するための設定メモ

メール送信確認

mail コマンドをインストールします。

apt -y install mailutils

以下のコマンドでメールが送信できることを確認します。

echo test | mail -s 'test mail' <送信先のメールアドレス>

Apache・PHP・MySQL のインストール

※バージョンは2024年5月20日時点のものです。

Apache(2.4.58)

apt -y install apache2

PHP(8.3.6)

apt -y install php-fpm
apt -y install php-dev
apt -y install php-mysql
apt -y install php-mbstring
apt -y install php-gd
apt -y install php-curl
apt -y install php-intl
apt -y install php-zip

MySQL(8.0.36)

apt -y install mysql-server

Apache の設定

Ubuntu での Apache の設定は Debian から引き継いだ独特の作法があります。はじめて Ubuntu を扱う方は公式ドキュメントを確認しておきましょう。

参考資料:Web Servers - Apache | Server documentation | Ubuntu

セキュリティ関連設定

GCIを使わない場合は、GCI設定を無効にします。

a2disconf serve-cgi-bin

ファイルの一覧を表示しないように Indexes オプションを外しておきます。
vi /etc/apache2/apache2.conf (170行目付近)

<Directory /var/www/>
        Options Indexes FollowSymLinks
          ↓
        Options FollowSymLinks

UTF-8 以外の文字エンコーディングを使わない場合は、AddDefaultCharset ディレクティブで UTF-8 を指定します。
vi /etc/apache2/conf-available/charset.conf

#AddDefaultCharset UTF-8
 ↓
AddDefaultCharset UTF-8

その他のセキュリティ設定を行います。
vi /etc/apache2/conf-available/security.conf

ServerTokens OS
 ↓
ServerTokens Prod
 
ServerSignature On
 ↓
ServerSignature Off
 
#Header set X-Content-Type-Options: "nosniff"
 ↓
Header set X-Content-Type-Options: "nosniff"
 
#Header set Content-Security-Policy "frame-ancestors 'self';"
 ↓
Header set Content-Security-Policy "frame-ancestors 'self';"
 
#(↓以下を追加)クロスサイトスクリプティング(XSS)対策
Header set X-XSS-Protection "1; mode=block"

ブラウザキャッシュ設定

ブラウザキャッシュの設定ファイルを作成します。キャッシュさせるファイルの種類や期限はコンテンツの内容に合わせて設定してください。
vi /etc/apache2/mods-available/expires.conf

<IfModule mod_expires.c>
    ExpiresActive On
    ExpiresDefault "access plus 1 seconds"
    ExpiresByType image/gif "access plus 1 year"
    ExpiresByType image/jpeg "access plus 1 year"
    ExpiresByType image/png "access plus 1 year"
    ExpiresByType image/svg+xml "access plus 1 year"
    #ExpiresByType text/css "access plus 1 year"
    #ExpiresByType text/js "access plus 1 year"
    #ExpiresByType text/javascript "access plus 1 year"
</IfModule>

SSL/TLS設定

SSL/TLS関連の設定です。
vi /etc/apache2/mods-available/ssl.conf

SSLSessionCache         shmcb:${APACHE_RUN_DIR}/ssl_scache(512000)
SSLSessionCacheTimeout  300
     ↓
SSLSessionCache         shmcb:${APACHE_RUN_DIR}/ssl_scache(1024000)
SSLSessionCacheTimeout  3600
        
SSLCipherSuite HIGH:!aNULL
         ↓
SSLCipherSuite "\
ECDHE-ECDSA-AES128-GCM-SHA256 \
ECDHE-ECDSA-CHACHA20-POLY1305 \
ECDHE-ECDSA-AES256-GCM-SHA384 \
ECDHE-ECDSA-AES128-SHA \
ECDHE-ECDSA-AES256-SHA \
ECDHE-ECDSA-AES128-SHA256 \
ECDHE-ECDSA-AES256-SHA384 \
ECDHE-RSA-AES128-GCM-SHA256 \
ECDHE-RSA-CHACHA20-POLY1305 \
ECDHE-RSA-AES256-GCM-SHA384 \
ECDHE-RSA-AES128-SHA \
ECDHE-RSA-AES256-SHA \
ECDHE-RSA-AES128-SHA256 \
ECDHE-RSA-AES256-SHA384 \
DHE-RSA-AES128-GCM-SHA256 \
DHE-RSA-CHACHA20-POLY1305 \
DHE-RSA-AES256-GCM-SHA384 \
DHE-RSA-AES128-SHA \
DHE-RSA-AES256-SHA \
DHE-RSA-AES128-SHA256 \
DHE-RSA-AES256-SHA256"

#SSLHonorCipherOrder on
     ↓        
SSLHonorCipherOrder on
    
SSLProtocol all -SSLv3
     ↓
SSLProtocol -all +TLSv1.2 +TLSv1.3
         
#(↓以下を追加)
SSLCompression off
SSLUseStapling On
SSLStaplingReturnResponderErrors off
SSLStaplingCache shmcb:/run/httpd/stapling_cache(128000)
#(↑追加ここまで)

SSL/TLS設定の詳細は以下の記事にまとめました。よければご参照ください。

関連記事:安全な SSL/TLS 設定にするための10のポイント(Apache httpd 2.4)

バーチャルホスト設定

バーチャルホストの設定です。サーバー証明書は、自動で生成される自己署名の証明書 ssl-cert-snakeoil.pem を使っていますが、実際に Webサイトを公開する場合は Let's Encrypt など正規の認証局が発行したサーバー証明書を使いましょう。

関連記事:Let's Encrypt サーバー証明書の取得と自動更新設定メモ

デフォルトのバーチャルホストを無効にします。

a2dissite 000-default

バーチャルホストの設定ファイルを作成します。ServerName に指定するドメイン名は、ご自分が所有しているドメインに書き換えてください。
vi /etc/apache2/sites-available/www.example.com.conf

<VirtualHost *:80>
    ServerName www.example.com
    Redirect permanent / https://www.example.com/
</VirtualHost>

<VirtualHost *:443>
    ServerName www.example.com
    DocumentRoot /var/www/html

    <Directory "/var/www/html">
        Options FollowSymLinks
        AllowOverride None
        Require all granted
    </Directory>

   SSLEngine on
   Header always set Strict-Transport-Security "max-age=31536000"
   SSLCertificateFile /etc/ssl/certs/ssl-cert-snakeoil.pem
   SSLCertificateKeyFile /etc/ssl/private/ssl-cert-snakeoil.key
   #SSLCertificateChainFile /etc/apache2/ssl.crt/server-ca.crt

    SetEnvIf Request_URI "\.(gif|jpg|png|css|js)$" nolog
    ErrorLog ${APACHE_LOG_DIR}/error.log
    CustomLog ${APACHE_LOG_DIR}/access.log combined env=!nolog
</VirtualHost>

作成したバーチャルホストを有効化します。

a2ensite www.example.com

モジュールの有効化と Apache の再起動

必要なモジュールを有効化します。

a2enmod headers
a2enmod expires
a2enmod ssl
a2enmod http2
a2enmod proxy_fcgi setenvif
a2enconf php8.3-fpm.conf

Apache を再起動します。

systemctl restart apache2

動作確認

確認用の PHP ファイルを作成します。

vi /var/www/html/test.php

<?php
phpinfo();

Webブラウザで確認用の PHP ファイルが実行されていることを確認します。
http://www.example.com/test.php

【補足】
自己署名のサーバー証明書の場合は警告が表示され、接続できない場合があります。FireFox で「危険性を承知で続行」ボタンを押して接続するか、Google Chrome の場合は「thisisunsafe」とタイプすると接続できます。

確認がおわったら PHP ファイルは削除しておきましょう。

rm /var/www/html/test.php

PHP の設定

PHP の設定です。
vi /etc/php/8.3/fpm/php.ini

error_reporting = E_ALL & ~E_DEPRECATED & ~E_STRICT (500行目付近)
 ↓
error_reporting = E_ALL & ~E_NOTICE
 
;date.timezone = (989行目付近)
 ↓
date.timezone = 'Asia/Tokyo'

設定が終わったら php-fpm を再起動します。

systemctl restart php8.3-fpm

MySQL の設定

MySQL の設定です。

vi /etc/mysql/mysql.conf.d/mysqld.cnf

#(↓以下を最終行に追加)
log_timestamps=SYSTEM

(設定の詳細)
log_timestamps=SYSTEM
 標準では MySQLのログの出力時間が UTC になるため、サーバーのタイムゾーンと同じになるように設定します。

設定が終わったら mysql を再起動します。

systemctl restart mysql

mysql_secure_installation の実行

mysql_secure_installation を実行して不要なユーザーやDBを削除します。

mysql_secure_installation --use-default

MySQL の root パスワード設定

Linux の root権限があれば、パスワード無しで MySQL に root ユーザーとして接続できます。

sudo mysql

必要に応じて ALTER USER コマンドで MySQL の rootユーザーにパスワードを設定してください。

mysql> ALTER USER root@localhost IDENTIFIED WITH caching_sha2_password BY '<パスワード>';

自動起動の設定確認

systemctl list-unit-files | grep -e apache2.service -e php8.3-fpm.service -e mysql.service -e 'UNIT FILE'
-----(STATE列がすべて「enabled」であればOKです)-----

UNIT FILE                                  STATE           VENDOR PRESET
apache2.service                            enabled         enabled
mysql.service                              enabled         enabled
php8.3-fpm.service                         enabled         enabled

一度OSを再起動して、各種サービスが起動している事を確認しましょう。

shutdown -r now
(再起動後に以下を実行)
ps aux | grep -e apache2 -e php-fpm -e mysqld

以上です。設定お疲れ様でした!

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