2016年9月14日、Zabbix3.2がリリースされました。Zabbixリリーススケジュールプログラムの予定通り、前バージョンのリリースからおよそ半年でのリリースになります。Zabbix 3.2 では、イベントタグの導入、イベントの手動クローズ、障害復旧の条件式の追加など、障害対応に関する機能が強化されています。さっそく、Zabbix3.2 を CentOS7.2 (1511) にインストールしてみました。
かなり前置きが長くなってしまいました(^^;) インストール方法だけを知りたい方は「Zabbix 3.2 のインストール」をクリックして、前置きを飛ばしてください。
Zabbix 3.2 の新機能
Zabbix3.2の目玉は、イベントタグの導入による障害の問題管理でしょうか。障害イベントにタグ付けすることによって、複数の原因からなる障害の関連付けができるようです。障害の因果関係の把握や、根本的な原因の特定をしやすくなりそうです。
また、今回追加された障害復旧の条件式を使う事で「CPUの使用率が80%を超えたら障害通知、でも復旧通知は60%を下回ったら」という設定が簡単にできます。障害しきい値付近でCPU使用率が上下し続けて、障害通知と復旧通知が繰り返し送信されるのを防げますね。
個人的に気になった新機能は、増加し続ける巨大なログファイルを監視するための log.count と logrt.count アイテムの追加です。これまでのバージョンでも、ログの監視はできましたが、巨大なログファイルの場合、解析が追いつかずエラーとなることがありました。
log.count と logrt.count アイテムに maxdelay パラメータを指定する事により、ログファイルの古い行を無視することができるため、新しいログのみを解析することができるようです。また、log.count と logrt.count アイテムは、条件に一致した行のログそのものではなく、一致した行数を返します。
Zabbix3.2の新機能は、まだまだたくさんあります。詳しくは公式ドキュメント「Zabbix 3.2 の新機能 | Zabbix Documentation 3.2」をご参照ください。
Zabbix 3.2 のサポートは 2017年4月まで
Zabbix3.2は、6ヶ月ごとのポイントリリースのため、サポート期間が短いのが特徴です。公式サポートを受けながら使いたい場合は、Zabbix3.2 → 3.4 → 3.6 と定期的にアップデートしていく必要があります。一方、前バージョンの Zabbix3.0 は、LTS(長期的なサポート)リリースと位置づけられているため、サポート期間が2021年2月までと、かなり長い期間使い続けることができます。
Zabbix を同じバージョンで長く使いたいのであれば Zabbix3.0、新しい機能をどんどん使ってみたいのなら Zabbix3.2 → 3.4 という選択ができるのは、ユーザーにとって嬉しい仕組みですね。
上記のサポート期間は、2016年9月16日時点のものです。正式には公式サイトをご参照ください。
Zabbix サポート期間とリリースポリシー | Zabbixオフィシャル日本語サイト
下準備
まず始めに、CentOS7.2にLAMP環境をインストール しておきます。
Zabbix 3.2 は PHP7 をサポート
公式なアナウンスは見つけられませんでしが、Zabbix3.2は PHP7 をサポートしたようです。Zabbix3.0のPHPバージョン必要条件にあった「PHP v7 is not supported yet.(PHP7のサポートはまだだよ)」の表記が削除されています。(2016年9月16日現在)
PHP7は、PHP5と比べて2倍以上の性能向上やメモリ使用量を低減するなど、大きく性能が改善されています。以前PHP7とPHP5.4の実行スピードを比較してみたところ、1秒以上の差があり体感レベルで速度が違いました。Zabbix3.2ではその恩恵を受けられそうですね。
Zabbix 3.2 のインストール
前置きがかなり長くなりましたが、本題 Zabbix3.2 のインストールです。
Zabbix3.2 の yum リポジトリの登録
インストール(2016年9月16日時点のバージョンは3.2.0-1)
yum -y install zabbix-agent
yum -y install zabbix-get
※PHPをRemiからインストールしている場合は、下記のようなエラーが発生することがあります。
エラー: パッケージ: php-bcmath-5.4.45-11.el7.remi.x86_64 (remi) 要求: php-common(x86-64) = 5.4.45-11.el7.remi インストール: php-common-5.6.25-1.el7.remi.x86_64 (@remi-php56) php-common(x86-64) = 5.6.25-1.el7.remi 利用可能: php-common-5.4.16-36.el7_1.x86_64 (base) php-common(x86-64) = 5.4.16-36.el7_1 利用可能: php-common-5.4.16-36.1.el7_2.1.x86_64 (updates) php-common(x86-64) = 5.4.16-36.1.el7_2.1 利用可能: php-common-5.4.16-36.3.el7_2.x86_64 (updates) php-common(x86-64) = 5.4.16-36.3.el7_2 利用可能: php-common-5.4.45-10.el7.remi.x86_64 (remi) php-common(x86-64) = 5.4.45-10.el7.remi 利用可能: php-common-5.4.45-11.el7.remi.x86_64 (remi) php-common(x86-64) = 5.4.45-11.el7.remi 問題を回避するために --skip-broken を用いることができます。 これらを試行できます: rpm -Va --nofiles --nodigest
その場合は「--enablerepo=remi,remi-php56」を付けてインストールしてみてください。
yum -y install zabbix-agent
yum -y install zabbix-get
Zabbix の yumリポジトリの無効化(念のため yum update でアップデートしないようにしておきます)
vim /etc/yum.repos.d/zabbix.repo
(略)
enabled=1
↓
enabled=0
[zabbix-non-supported]
(略)
enabled=1
↓
enabled=0
Zabbix データベースとユーザーの作成
MySQLに、Zabbix用のデータベースとユーザーを作成します。
mysql -uroot -p
grant all on zabbix.* to zabbix@localhost identified by '<パスワード>';
quit;
Zabbix 用のデータベーススキーマとデータをインポート(バージョンが変わるとディレクトリ名の青字の部分も変わります。インストールしたバージョンに合わせて指定してください)
zcat create.sql.gz | mysql -uroot -p zabbix
Zabbix サーバーの設定と起動
Zabbix サーバーの設定ファイルに、先ほど作成したMySQLのユーザー(zabbix)のパスワードを入力します。
vim /etc/zabbix/zabbix_server.conf
↓
DBPassword=<パスワード>
Apache httpd の設定ファイルで、タイムゾーン(日本/東京)を指定します。
vim /etc/httpd/conf.d/zabbix.conf
↓
php_value date.timezone Asia/Tokyo
Zabbix サーバーの起動と自動起動設定
systemctl enable zabbix-server
Apache httpd の再起動
また、動作確認用に Zabbix エージェントも起動しておきます。
systemctl enable zabbix-agent
Zabbix エージェントの動作確認(Zabbixのバージョンが表示されればOKです)
3.2.0
Zabbix の 初期設定
ブラウザで下記URLを開き、初期設定を開始します(ホスト名はご自分の環境に読替えてください)
http://centos72/zabbix/
「Next step」をクリックします
すべて「OK」であれば「Next step」をクリックします
「Password」欄に、MySQLのユーザー(zabbix)のパスワードを入力し「Next step」をクリックします
そのまま「Next step」をクリックします
そのまま「Next step」をクリックします
「Finish」をクリックすれば、初期設定完了です
ユーザーパスワードと言語の変更
初期設定が終了すると、Zabbixのログイン画面が表示されますので、初期ユーザーでログインします
Username:Admin
Password:zabbix
[Administration]→[Users] をクリックします
Alias列の「Admin」をクリックします
Userタブを選択し、「Change password」をクリックします
パスワードの入力欄が表示されますので、パスワードを入力し、
「Language」を「Japanese(ja_JP)」に変更したら「Update」をクリックします
一度ブラウザをリロードすると日本語表示になります
以上です。Zabbix3.2のインストールと設定お疲れ様でした!
(関連記事)ZabbixでLAMPサーバを監視設定メモ(Zabbix 2.4 CentOS6.6)
終わりに
余談ですが、以前のバージョンでは障害情報を確認する画面は「イベント」という名称でしたが、Zabbix3.2では、そのまま「障害」という名称に変わっていました。
英語表示の場合は「Problems」と表示されますが、そのまま直訳して「問題」と表示せずに、より日本語として分かりやすい「障害」という名称にしてくれています。こういった細かい心遣いも嬉しいですね。
コメント
最近zabbix始めました。
zabbix関連のブログ参考にさせていただいています。
とても助かっています!!ありがとうございます!!!
>tsuna37さん
コメントありがとうございます。
このブログが、少しでもお役に立てたなら嬉しいです(^^)/