さくらのクラウド と AWS EC2 を徹底的にベンチマークしてみた

2017年6月30日  カテゴリー:WEB  タグ: , ,
Pocket
LINEで送る

さくらのクラウドは、さくらインターネットが提供する IaaS型のクラウドサービスです。さくらのVPSや専用サーバー、ハウジングしているサーバーとハイブリット接続できるのが大きな特徴とされています。そしてなんといっても魅力なのは、さくらのクラウドのキャッチコピーにもある「トラフィック課金なし、変わらない利用料金」です。とはいえ気になるのはやはりサーバーの性能ではないでしょうか? そこで今回は、さくらのクラウドと AWS EC2 を「徹底的」にベンチマークして性能を比較してみました。

比較するサーバーのスペックと月額料金

月額料金は、どちらも東京リージョン2017年6月27日時点の料金概算です。

さくらのクラウド

  • マシンタイプ:vCPU x 1 + メモリ 2GB
  • ストレージ:SSD 20GB
  • 月額料金:3,132円(サーバー:2,376円 ディスク:756円)
  • インターネットへのデータ送信:無料

AWS EC2

  • マシンタイプ:t2.small(vCPU x 1 + メモリ 2GB)オンデマンドインスタンス
  • ストレージ:SSD 20GB
  • 月額料金(ドル):$25.76(730時間利用)(サーバー:$23.36 ディスク:$2.4)
  • 月額料金(日本円):2,885円(為替レート112円で計算)
  • インターネットへのデータ送信:$0.14/GB

サーバーとディスク料金だけ見れば AWS EC2 が多少安いですが、インターネットへのデータ送信量が仮に月30GBだとすると、トラフィック課金は $0.14/GB×30GB×112円=470円 となり、合計すると 2,885円 + 470円 = 3,355円くらいになります。

このくらいのデータ送信量であれば問題ありませんが、これが10倍になるとトラフィック課金も10倍になりサーバーとディスク料金をはるかに上回ります。これが IaaS型クラウドサービスの一番怖いところだと思います(^^;)

ベンチマークテストの概要

以下のベンチマークテストを1時間ごとに行い、1日(24時間)の結果を比較します。各ベンチマークテストは、同じ時間帯に実行されないようにスケジュールしています。ベンチマークの詳細な手順はこの記事の後半「ベンチマーク設定手順」をご参照ください。

  • CPU性能(UnixBench の System Benchmarks Index Score)
  • Read ディスク性能(hdparm を10回実行した結果の平均値)
  • Write ディスク性能(ddコマンドで512MBのデータを10回書き込んだ結果の平均値)
  • MySQLのTPS「トランザクション毎秒」(SysBench の transactions の値)

ベンチマーク結果(サマリ)

記事が長くなりましたので、先に各ベンチマーク結果の平均値をまとめました。今回計測したサーバーのスペックでは、さくらのクラウドに軍配が上がりそうです。

ベンチマークさくらのクラウドAWS EC2
CPU性能 - System Benchmarks Index Score1333.8512.2
Read ディスク性能(MB/秒)101.0181.17
Write ディスク性能(MB/秒)183.376.9
MySQLトランザクション毎秒(per sec)184.5215.6
月額費用概算(データ送信30GB/月)3,132円3,355円
インターネットへのデータ送信料金無料$0.14/GB

ベンチマーク結果(詳細)

ベンチマークテストを実施した期間は 2017-06-26 07:00 〜2017-06-28 04:00 です。丸一日のデータがとれた6月27日のベンチマーク結果で比較します。

CPU性能(UnixBench)

定番のベンチーマークツール UnixBench の System Benchmarks Index Score です。この値が大きいほどCPUの性能が高いと言えます。

さくらのクラウドが AWS EC2 の3倍近くのスコアを出しています。

(System Benchmarks Index Score)

日時さくらのクラウドAWS EC2
2017/6/27 0:001361.7505.6
1:001360.4512.8
2:001356.2515.2
3:001349.7506.9
4:001341.1503.8
5:001353.7509.1
6:001353.2507.8
7:001356.8508.8
8:001345.1576.4
9:001346.3504.7
10:001312.1499.2
11:001322.9511.1
12:001295.8503.8
13:001303.3514.0
14:001323.9504.8
15:001322.6514.4
16:001313.6510.7
17:001310.4509.5
18:001302.5511.8
19:001310.7514.2
20:001303.6507.8
21:001350.8517.3
22:001360.8514.2
23:001353.9507.8
平均1333.8512.2

Read ディスク性能

SSDの読み取り速度、1回の計測値は hdparm(ディスクの読み取り性能を計測するためのコマンド)を10回実行した結果の平均です。

読み取り速度の平均値は、さくらのクラウドの方が早いですが、時間帯によって性能に多少のバラツキがあります。一方 AWS EC2 は下のグラフからも分かるように性能が一定です。いつ計測しても約80MB/秒の読み取り速度が出ています。

(単位:MB/秒)

日時さくらのクラウドAWS EC2
2017/6/27 0:40125.2081.14
1:40128.8881.15
2:40128.5781.23
3:40109.5181.14
4:40121.6581.22
5:40127.0781.17
6:40115.7981.20
7:40117.0881.20
8:40118.4081.17
9:4074.2380.91
10:4082.7381.13
11:40121.9081.16
12:4070.1381.17
13:4067.4781.17
14:4079.8981.21
15:4097.3481.16
16:4078.1381.21
17:4076.6081.20
18:4091.2681.13
19:4075.5181.21
20:4086.2081.18
21:4092.6781.23
22:40123.5181.16
23:40114.4381.20
平均101.0181.17

Write ディスク性能

SSDの書き込み速度、1回の計測値はddコマンドで512MBのデータを10回書き込んだ結果の平均です。

ディスクの書き込み性能については、どちらも時間帯の違いによる性能のバラツキはありません。さくらのクラウドが AWS EC2 の2倍以上の書き込み速度を出しています。

(単位:MB/秒)

日時さくらのクラウドAWS EC2
2017/6/27 0:45183.881.5
1:45185.275.7
2:45183.280.3
3:45180.185.5
4:45183.775.9
5:45183.076.2
6:45184.474.7
7:45183.075.8
8:45181.876.2
9:45184.776.2
10:45181.476.0
11:45180.075.8
12:45185.075.9
13:45184.675.9
14:45182.975.8
15:45182.176.0
16:45183.080.1
17:45182.976.2
18:45183.576.4
19:45183.275.6
20:45185.575.6
21:45183.876.1
22:45183.176.2
23:45185.475.9
平均183.376.9

MySQLのTPS(トランザクション毎秒)

MySQLのTPS(トランザクション毎秒)一般的にデータベース管理システムの性能はこのTPSで評価します。計測値は、SysBench の transactions の値です。

データベース管理システムの実行性能は、若干 AWS EC2 の方が良さそうです。

(単位:per sec)

日時さくらのクラウドAWS EC2
2017/6/27 0:50190.20215.57
1:50191.28213.27
2:50192.15212.87
3:50181.92214.47
4:50186.27216.51
5:50193.19218.33
6:50190.67214.72
7:50189.50214.82
8:50188.87216.95
9:50179.25217.07
10:50174.50218.91
11:50184.29218.11
12:50173.72216.04
13:50180.59217.91
14:50175.75217.27
15:50174.96213.38
16:50177.88213.10
17:50174.74214.94
18:50186.21212.61
19:50179.26212.51
20:50177.26215.70
21:50196.27214.62
22:50189.79216.90
23:50200.03216.81
平均184.50215.60

ベンチマーク設定手順

さくらのクラウド と AWS EC2 どちらもまったく同じ手順で、ベンチマークを設定し計測しました。サーバーOSは CentOS7.3 (1611) です。

今回のベンチマーク結果ログ

はじめに、インストール済みのパッケージを最新版にアップデートし、開発ツールなど基本的なパッケージをインストールします。

yum -y update
yum -y groupinstall base
yum -y groupinstall development
yum -y groupinstall network-tools

ベンチマーク結果ログの保存先を作成

mkdir /var/log/bench

CPU性能(UnixBench)

UnixBench のインストール

yum -y install perl-Time-HiRes
cd /usr/local/bin/
wget https://storage.googleapis.com/google-code-archive-downloads/v2/code.google.com/byte-unixbench/UnixBench5.1.3.tgz
tar zxvf UnixBench5.1.3.tgz
cd UnixBench
make

・ベンチマーク実行スクリプトの作成
vi /usr/local/bin/unixbench.sh

実行権限を設定

chmod 700 /usr/local/bin/unixbench.sh

・crontab に登録
crontab -e

00 * * * * /usr/local/bin/unixbench.sh

Read ディスク性能(hdparm)

hdparm のインストール

yum -y install hdparm

・ベンチマーク実行スクリプトの作成
vi /usr/local/bin/io_read.sh

実行権限を設定

chmod 700 /usr/local/bin/io_read.sh

・crontab に登録
crontab -e

40 * * * * /usr/local/bin/io_read.sh

Write ディスク性能(dd)

・ベンチマーク実行スクリプトの作成
vi /usr/local/bin/io_write.sh

実行権限を設定

chmod 700 /usr/local/bin/io_write.sh

・crontab に登録
crontab -e

45 * * * * /usr/local/bin/io_write.sh

MySQLのTPS(SysBench)

SysBench についての詳細は「SysBench で MySQL の性能測定(ベンチマーク)」をご参照ください。

SysBench のインストール

rpm -ivh http://dl.fedoraproject.org/pub/epel/7/x86_64/e/epel-release-7-9.noarch.rpm
rpm --import http://dl.fedoraproject.org/pub/epel/RPM-GPG-KEY-EPEL-7
yum -y install sysbench

MySQL のインストールと起動

rpm -ivh http://dev.mysql.com/get/mysql57-community-release-el7-11.noarch.rpm
yum -y install mysql-server
systemctl start mysqld

MySQL の初期設定

grep password /var/log/mysqld.log ← root のパスワード確認
mysql_secure_installation

SysBench用のDBとユーザーの作成

mysql -p
CREATE DATABASE sbtest;
GRANT ALL ON sbtest.* TO 'sbtest'@'localhost' IDENTIFIED BY '<パスワード>';

計測用テーブルの作成

sysbench \
--test=/usr/share/sysbench/tests/include/oltp_legacy/oltp.lua \
--db-driver=mysql \
--oltp-table-size=1000000 \
--mysql-password=<パスワード> \
prepare

・ベンチマーク実行スクリプトの作成
vi /usr/local/bin/sysbench.sh

実行権限を設定

chmod 700 /usr/local/bin/sysbench.sh

・crontab に登録
crontab -e

50 * * * * /usr/local/bin/sysbench.sh

以上で各ベンチマークテストが1時間ごとに実施され、結果が /var/log/bench/ ディレクトリ以下に出力されます。

(番外編)「さくらのVPS」はコスパ最強!

参考までに、さくらのVPS(v4)(vCPU x 3 + メモリ 2GB + SSD50GB)のベンチマークも計測してみました。

CPUのコア数が多いので、System Benchmarks Index Score(さくらのVPSはマルチコアのスコアです)が高いのは当然ですが、ディスク性能がケタ違いに良いです。読み取り性能では10倍以上の性能を出しています。

ベンチマークさくらのクラウドAWS EC2さくらのVPS
CPU性能 - System Benchmarks Index Score1333.8512.22815.3
Read ディスク性能(MB/秒)101.0181.171520.46
Write ディスク性能(MB/秒)183.376.9586.73
MySQLトランザクション毎秒(per sec)184.5215.6(未計測)
月額費用概算(データ送信30GB/月)3,132円3,355円1,706円
インターネットへのデータ送信料金無料$0.14/GB無料
初期費用0円0円2,160円

ただし、さくらのVPSは数年に一度、ホストマシンの交換などにより数時間のサーバ停止をともなうメンテナンスが実施されることがあります。最近のメンテナンスでは平日の日中に2〜3時間の停止がありました。

このようなメンテナンス停止が許容できてクラウドにこだわる必要がなければ、クラウドサーバの半分の金額で倍以上の性能を得られるさくらのVPSがオススメです。

スポンサーリンク
Pocket
LINEで送る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です