AT Protocol(Authenticated Transport Protocol)は、大規模な分散型ソーシャルアプリケーションのためのプロトコルです。ツイッター創業者のジャック・ドーシー氏が立ち上げた「Bluesky」チームが開発しています。AT Protocol は電子メールのように、異なるプロバイダーのサーバーが連携してソーシャルネットワークを形成するため、ユーザーは特定のプロバイダーに縛られることなく、SNSを利用することができます。そこで今回は、AT Protocol について簡単にまとめてみました。
現在のSNS(2022年)
現在のSNSと、AT Protocol に対応したSNSを比較してみると、AT Protocol を理解しやすいと思いますので、図にしてみました。
下は2022年現在のSNSの図です。
ひろし は SNS-A のアカウントを持っていましたが、友達の けんた は SNS-B、同じ学校の ともこ は SNS-C、同じ部活の たくや は SNS-D、バイト先の まりえ は SNS-E、、、のように、SNSで繋がりたい人が使っている ※「プロバイダー」が違うため、ひろし はそれぞれのSNSにアカウントを作成する必要があります。(みなさんのスマートフォンにも、たくさんのSNSアプリがインストールされているのではないでしょうか?)
※「プロバイダー」・・・ツイッターやフェイスブックやインスタグラムなど、SNSの提供元のことです。
AT Protocol に対応したSNSで実現できること
AT Protocol に対応したSNSでは次のようなことが実現できます。
参考資料:Protocol Overview | AT Protocol
異なるSNSでも繋がることができる
各プロバイダーは AT Protocol を通じて連携しているので、ひろし は SNS-A のアカウントさえあれば、異なるSNSでもみんなと繋がることができます。AT Protocol の開発元 Bluesky は、これを連合型ソーシャル・ネットワーク(federated social network)と呼んでいます。
アカウントの移動
AT Protocol に対応していれば、アカウントの移動も簡単です。例えば、値上げなどの理由で SNS-A を使いたくなくなった ひろし は、みんなとのSNSの繋がりやデータを失うことなく、他のプロバイダーにアカウントを移動することができます。
Bluesky CEO の Jay Graber氏は、これを「あなたのSNSアカウントが git リポジトリでホストされていると想像してみてください」 と表現しています。
参考資料:https://twitter.com/arcalinea/status/1586152383448600576
自前のサーバーでも運用可能
AT Protocol に対応していれば、企業もしくは個人で立てたサーバーで運用することも可能です。
チャットツール乱立問題の救世主になるか!?
少し話は変わりますが、2022年現在、会社などの組織ではチャットが必須のツールになっていますが、組織によって導入されているチャットツールが異なります。それに対応するため、1つの会社でも複数のチャットツールが導入されることが多く、チャットツールが乱立してこれが問題になっています。
チャットツールが乱立すると、やりとりする相手によってチャットツールを使い分ける必要があるため、業務が非効率になる上に、チャットツールの利用料金が増大して、従業員にとっても会社にとっても、なに一ついいことがありません。
AT Protocol が、今後どのように使われていくかは、まだ分かりませんが、チャットツール乱立問題の救世主になることを期待しています。
おわりに
今後のインターネットのトレンドは、間違いなく分散型(Decentralized)です。AT Protocol が広く普及してくれることを祈ります。
コメント