2017年8月22日、Zabbix3.4がリリースされました。前バージョン3.2のリリースから約1年ぶりのバージョンアップです。Zabbix 3.4 では、再設計されたダッシュボード、プロキシによるリモートコマンドのサポート、アラートの並列処理など、使いやすさと柔軟性を考慮した機能がさらに強化されています。さっそく、Zabbix3.4 を CentOS7.3 (1611) にインストールしてみました。
Zabbix 3.4 の新機能
Zabbix3.4は冒頭に上げた新機能のほかにも、トリガーによって生成された障害(Problems)を確認した時に通知する機能や、アイテム値をデータベースに保存する前に処理する機能の追加、Web監視におけるGET変数とPOST変数の自動URLエンコード、ディレクトリサイズを監視するための vfs.dir.size アイテムキーの追加、などなど大幅な改善と新機能が導入されました。
(Zabbix3.4の新機能)「What's new in Zabbix 3.4.0」
マップの改善
個人的に注目した Zabbix 3.4 の新機能は、「マップの改善」です。変更点は次の通りです。
- マップのレンダリングがSVGベクトルグラフィックスに変更
- 権限の変更
- 複数トリガーのサポート
- 複数の要素のドラッグ&ドロップのサポート
- 複数の要素のコピー&ペーストのサポート
- 図形や線を追加する機能
「図形や線を追加する機能」では、マップに長方形と楕円形を追加したり自由に線を引いたりできるようになりました。図形にはテキストを追加することもできます。Zabbixのマップをネットワーク構成図などにガンガン使っている方にはうれしい機能ではないでしょうか。
Zabbix 3.4 はポイントリリース
Zabbix3.4は、最新の機能が使えますがサポート期間の短い「ポイントリリース」です。次のバージョンアップでは Zabbix4.0 LTS(長期的なサポート)が 2018年にリリースされる予定です。詳しくは「Zabbix サポート期間とリリースポリシー | Zabbixオフィシャル日本語サイト」をご確認ください。
下準備
まず始めに、CentOS7.3にLAMP環境をインストール しておきます。
Zabbix 3.4 のインストール
Zabbix3.4 の yum リポジトリの登録
インストール(2017年8月22日時点のバージョンは3.4.0-1)
yum -y install zabbix-agent
yum -y install zabbix-get
※PHPをRemiリポジトリからインストールしている場合は、下記のようなエラーが発生することがあります。
エラー: パッケージ: php-bcmath-5.4.16-42.el7.x86_64 (base) 要求: php-common(x86-64) = 5.4.16-42.el7 インストール: php-common-5.6.25-1.el7.remi.x86_64 (@remi-php56) php-common(x86-64) = 5.6.25-1.el7.remi 利用可能: php-common-5.4.16-42.el7.x86_64 (base) php-common(x86-64) = 5.4.16-42.el7
その場合は「--enablerepo=remi,remi-php56」を付けてインストールしてみてください。(リポジトリ「remi-php56」 はインストールしているPHPのバージョンとあわせてくださいね)
yum -y install zabbix-agent
yum -y install zabbix-get
Zabbix データベースとユーザーの作成
MySQLに、Zabbix用のデータベース(zabbix)とユーザー(zabbix)を作成します。
create database zabbix character set utf8 collate utf8_bin;
grant all on zabbix.* to zabbix@localhost identified by '<パスワード>';
quit;
Zabbix 用のデータベーススキーマとデータをインポート(バージョンが変わるとディレクトリ名の青字の部分も変わります。インストールしたバージョンにあわせて指定してください)
zcat create.sql.gz | mysql -u zabbix -p zabbix
Zabbix サーバーの設定と起動
Zabbix サーバーの設定ファイルに、先ほど作成したMySQLのユーザー(zabbix)のパスワードを入力します。
vim /etc/zabbix/zabbix_server.conf
↓
DBPassword=<パスワード>
Apache httpd の設定ファイルで、タイムゾーン(日本/東京)を指定します。
vim /etc/httpd/conf.d/zabbix.conf
↓
php_value date.timezone Asia/Tokyo
Zabbix サーバーの起動と自動起動設定
systemctl enable zabbix-server
Apache httpd の再起動
また、動作確認用に Zabbix エージェントも起動しておきます。
systemctl enable zabbix-agent
Zabbix エージェントの動作確認(Zabbixのバージョンが表示されればOKです)
3.4.0
Zabbix の初期設定
ブラウザで下記URLを開き、初期設定を開始します(ホスト名はご自分の環境に読替えてください)
http://example.com/zabbix/
「Next step」をクリックします
すべて「OK」であれば「Next step」をクリックします
「Password」欄に、MySQLのユーザー(zabbix)のパスワードを入力し「Next step」をクリックします
そのまま「Next step」をクリックします
設定した内容の最終確認です。間違えがなければ「Next step」をクリックします
「Finish」をクリックすれば、初期設定完了です
ユーザーパスワードと言語の変更
初期設定が終了すると、Zabbixのログイン画面が表示されますので、初期ユーザーでログインします
Username:Admin
Password:zabbix
[Administration]→[Users] をクリックします
Alias列の「Admin」をクリックします
Userタブを選択し、「Change password」をクリックします
パスワードの入力欄が表示されますので、パスワードを入力し、
「Language」を「Japanese(ja_JP)」に変更したら「Update」をクリックします
一度ブラウザをリロードすると日本語表示になります
以上です。Zabbix3.4のインストールと設定お疲れ様でした!
Zabbixサーバー自身の監視設定
初期状態でZabbixサーバー自身のホストが登録されていますので、監視を有効にしてみましょう。
[設定]→[ホスト] をクリックします
ステータスの「無効」をクリックすると監視が有効になります。
しばらくしてから [監視データ]→[概要] で、グループ「Zabbix Servers」タイプ「データ」を選択すると、Zabbixサーバーの監視データを閲覧することができます。
(関連記事)ZabbixでLAMPサーバを監視設定メモ(Zabbix 2.4 CentOS6.6)
おわりに
せっかくなので、強化されたマップ機能で絵を書いてみました(しょうもない絵でゴメンなさい)要素のコピペができるのが思いのほか便利です。レンダリングがSVGベクトルグラフィックスなので拡大しても文字や線がキレイですね。
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