2022年3月14日 Apache httpd 2.4.53 がリリースされました。約3ヶ月ぶりのバージョンアップです。Apache httpd 2.4.53 では、LDAPフィルターが追加され LDAPインジェクションからの保護機能が追加されています。また、4件の脆弱性((CVE-2022-22719、CVE-2022-22720、CVE-2022-22721、CVE-2022-23943)も修正されていますので、早めのアップデートをオススメします。そこで今回は CentOS7 および CentOS8、AlmaLinux8、RockyLinux8、CentOS Stream 9 に Apache httpd 2.4.53 をインストールする手順をまとめてみました。
参考記事:
Changes with Apache 2.4.53
(補足)yum と dnf は同じ
この記事では、CentOS7 との互換のためパッケージのアップデートやインストールに yum コマンドを使う手順になっています。
CentOS8 以降では、パッケージ管理ツールとして dnf が導入されましたが、CentOS Stream 9(および RHEL 9)においても yum と dnf は、同じ意味で使用できます。
参考資料:3.4. Package management with YUM/DNF | RHEL 9.0 Release Notes
開発ツールのインストール
Apache httpd や各種ライブラリをソースからコンパイルしますので、パッケージを「最小限のインストール」でインストールしている場合は、基本パッケージと開発ツールをインストールしておきましょう。
yum -y groupinstall development
yum アップデート
インストール済みのパッケージを、最新版にアップデートします。
OSを再起動します。
OpenSSL 3.0 のインストール(CentOS Stream 9 の場合は不要)
CentOS7、CentOS8、AlmaLinux8、RockyLinux8 の場合は、OpenSSL 3.0 をインストールします。
OpenSSL のコンパイルに必要なパッケージをインストールしておきます。
yum -y install perl-core
OpenSSL 3.0 のダウンロード(ダウンロードの前に OpenSSL 3.0 の最新リリース を確認しておきましょう)
wget https://www.openssl.org/source/openssl-3.0.2.tar.gz
OpenSSL 3.0 のインストール
cd openssl-3.0.2/
./Configure --prefix=/usr/local/openssl-3.0.2 shared zlib
make
make test
make install
OpenSSL 3.0 のライブラリにパスを通しておきます。
ldconfig
OpenSSL 3.0 の動作確認(バージョンが表示されればOKです)
/usr/local/openssl-3.0.2/bin/openssl version OpenSSL 3.0.2 15 Mar 2022 (Library: OpenSSL 3.0.2 15 Mar 2022)
Nghttp2 のインストール
HTTP/2(mod_http2)のコアエンジン Nghttp2 をインストールします。
Nghttp2 のダウンロード(ダウンロードの前に Nghttp2の最新リリース を確認しておきましょう)
wget https://github.com/nghttp2/nghttp2/releases/download/v1.47.0/nghttp2-1.47.0.tar.gz
Nghttp2 のライブラリをコンパイルしてインストールします。
cd nghttp2-1.47.0/
./configure --enable-lib-only
make
make install
以上で HTTP/2 のライブラリ「libnghttp2」が /usr/local/lib/ 以下にインストールされます。
Brotli のインストール
Brotli のコンパイルに cmake を使いますので、インストールしておきます。
Brotli のダウンロード(ダウンロードの前に Brotliの最新リリース を確認しておきましょう)
wget https://github.com/google/brotli/archive/refs/tags/v1.0.9.tar.gz
Brotli をコンパイルしてインストールします。
cd brotli-1.0.9/
mkdir out && cd out
../configure-cmake
make
make test
make install
Brotli のライブラリが /usr/local/lib 以下にインストールされます。
ライブラリへのパス追加
HTTP/2 と Brotliのライブラリが「/usr/local/lib」以下にインストールされましたので、ライブラリのパスに追加しておきます。
ldconfig
Apache httpd インストールの下準備
Apache httpd のコンパイルに必要なパッケージをインストールしておきます。
yum -y install expat-devel
また、Apache 2.4系をソースコードからインストールする場合は、APR と APR-util が必要になりますので、インストールしておきます。
APR
wget http://ftp.jaist.ac.jp/pub/apache//apr/apr-1.7.0.tar.gz
tar xvzf apr-1.7.0.tar.gz
cd apr-1.7.0/
./configure
make
make install
APR-util
wget http://ftp.jaist.ac.jp/pub/apache//apr/apr-util-1.6.1.tar.gz
tar xvzf apr-util-1.6.1.tar.gz
cd apr-util-1.6.1/
./configure --with-apr=/usr/local/apr
make
make install
Apache httpd 2.4.53 のインストール
本題の Apache httpd のインストールです。
Apache httpd のソースコードのダウンロード
wget https://dlcdn.apache.org/httpd/httpd-2.4.53.tar.gz
ダウンロードしたソースコードを解凍して、ディレクトリを移動します。
cd httpd-2.4.53/
CentOS7、CentOS8、AlmaLinux8、RockyLinux8 の場合
Apache httpd をインストールします。「--with-ssl」オプションで OpenSSL 3.0 のインストールディレクトリを指定します。
--enable-http2 \
--enable-brotli \
--with-brotli=/usr/local/lib \
--enable-ssl \
--with-ssl=/usr/local/openssl-3.0.2 \
--with-apr=/usr/local/apr \
--with-apr-util=/usr/local/apr \
--enable-so \
--enable-mods-shared=all \
--enable-mpms-shared=all
 
make
make install
CentOS Stream 9 の場合
Apache httpd をインストールします。CentOS Stream 9 の場合は「--with-ssl」オプションの指定は必要ありません。
--enable-http2 \
--enable-brotli \
--with-brotli=/usr/local/lib \
--enable-ssl \
--with-apr=/usr/local/apr \
--with-apr-util=/usr/local/apr \
--enable-so \
--enable-mods-shared=all \
--enable-mpms-shared=all
 
make
make install
以上で Apache が /usr/local/apache2/ 以下にインストールされました。続いてSSLサーバー証明書の作成と、Apacheの設定を行います。
自己署名のSSLサーバー証明書の作成
HTTP/2 および Brotli は HTTPS が必須になりますので Apache の設定の前に、SSLサーバー証明書を作成しておきます。
秘密鍵の作成
CSR(証明書署名要求)の作成(入力するのは Country Name と Common Name の2箇所だけです)
Country Name (2 letter code) [XX]:JP
State or Province Name (full name) []:<空エンター>
Locality Name (eg, city) [Default City]:<空エンター>
Organization Name (eg, company) [Default Company Ltd]:<空エンター>
Organizational Unit Name (eg, section) []:<空エンター>
Common Name (eg, your name or your server's hostname) []:www.example.com
Email Address []:<空エンター>
Please enter the following 'extra' attributes
to be sent with your certificate request
A challenge password []:<空エンター>
An optional company name []:<空エンター>
SSLサーバー証明書の作成(有効期限30年)
秘密鍵とSSL証明書を移動
mv -i server.crt /etc/pki/tls/certs/
パーミッションを変更
chmod 600 /etc/pki/tls/certs/server.crt
SELinux を有効にしている場合は、秘密鍵とSSL証明書に正しいセキュリティコンテキストをつけておきましょう。(Apache httpd 起動時にエラーが発生することがあります)
restorecon /etc/pki/tls/certs/server.crt
CSRを削除
Apache httpd の設定
オリジナルの設定ファイルをバックアップ
mv -i /usr/local/apache2/conf/extra/httpd-ssl.conf /usr/local/apache2/conf/extra/httpd-ssl.conf.org
・設定ファイルを作成します
vim /usr/local/apache2/conf/httpd.conf
vim /usr/local/apache2/conf/extra/httpd-ssl.conf
systemd サービスファイルの作成
Apache httpd 用の systemd サービスファイル(起動スクリプトのようなもの)を作成します。
vim /etc/systemd/system/httpd.service
Description=The Apache HTTP Server
After=network.target remote-fs.target nss-lookup.target
[Service]
Type=forking
ExecStart=/usr/local/apache2/bin/apachectl start
ExecReload=/usr/local/apache2/bin/apachectl graceful
ExecStop=/usr/local/apache2/bin/apachectl stop
[Install]
WantedBy=multi-user.target
作成したサービスファイルを systemd に反映
systemd に反映されているか確認
httpd.service disabled ←この表示があればOK
起動
自動起動設定
firewalld設定
HTTP(80/tcp) と HTTPS(443/tcp) を開けておきます。
firewall-cmd --add-port=443/tcp --permanent
firewall-cmd --reload
・確認
firewall-cmd --list-all
interfaces: enp0s3 enp0s8
sources:
services: dhcpv6-client ssh
ports: 443/tcp 80/tcp ←この表示があればOK
(略)
ログのローテーション設定
・設定ファイルを作成します
vim /etc/logrotate.d/httpd
/usr/local/apache2/logs/*log { daily missingok dateext rotate 60 create 644 daemon daemon sharedscripts postrotate /bin/systemctl reload httpd.service > /dev/null 2>/dev/null || true endscript }
・確認します
logrotate -dv /etc/logrotate.d/httpd
-----(下記のような表示であればOKです)-----
Handling 1 logs
rotating pattern: /usr/local/apache2/logs/*log after 1 days (60 rotations)
empty log files are rotated, old logs are removed
(略)
以上です。設定お疲れ様でした!
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