2020年5月11日、Zabbix 5.0がリリース されました。約1年半ぶりのメジャーバージョンアップです。Zabbix 5.0 は、長期サポート(LTS)リリースのためサポート期間が5年と長いのが特徴です。Zabbix 5.0 ではアイテム(サーバーを監視するための様々な設定)を保存する前でもボタンひとつでテストできるようになりました。日々Zabbixを運用する者としては本当に嬉しい機能です。そこで今回は、CentOS8 に Zabbix 5.0 をインストールする手順をまとめてみました。
Zabbix 5.0 の新機能と変更点
Zabbix 5.0 には、冒頭にも書きましたがアイテムのテスト機能、Webhookによる各種サービスとの連携強化、
Zabbix agent 2 の正式サポート(現在はRHEL8のみ)などなどたくさんの機能が追加されています。
参考資料:5 What's new in Zabbix 5.0.0 | Zabbix Documentation 5.0
Zabbix 5.0 の大きな変更点として、Webフロントエンドに必要なPHPのバージョンが PHP5.4 から PHP7.2 に変更されました。そのため、CentOS で Zabbixサーバーを運用する場合は、標準でPHP7.2が提供されている CentOS8 の利用をオススメします。(CentOS7 でも SCL を利用することでインストール可能です)
MySQL 8.0 のインストールと設定
Zabbix 5.0 のインストールの前に、下準備として MySQL 8.0 をインストールして設定しておきましょう。
MySQL 8.0 のインストール
sudo yum -y install mysql-server
・標準では MySQLのログの出力時間が UTC になるため、MySQLの設定ファイルの最後の行に以下を追加します。(気にならなければそのままで構いません)
sudo vi /etc/my.cnf.d/mysql-server.cnf
MySQLの起動と自動起動設定
mysql_secure_installation の実行
初期状態では、rootユーザーがパスワードなしで MySQLに接続できるようになっていますのでパスワードを設定しておきます。
mysql_secure_installation コマンドを実行すると、root ユーザーのパスワードを変更し、不要なユーザーやDBも削除してくれます。パスワードは、8文字以上で英数大文字小文字と記号が含まれていないとポリシー違反で弾かれてしまいますので注意です。パスワードポリシーを変更したい場合は「--use-default」オプションなしで実行してください。
(略)
Please set the password for root here.
New password: <新しいパスワード>
Re-enter new password: <新しいパスワード>
(略)
Do you wish to continue with the password provided?(Press y|Y for Yes, any other key for No) : y
(不要なユーザーやDBを削除)
All done!
SELinux無効設定
・下記を変更
vim /etc/sysconfig/selinux
↓
SELINUX=disabled
OSを再起動します
Zabbix 5.0 のインストール
本題の Zabbix 5.0 のインストールです。
Zabbix 5.0 の yum リポジトリを登録します。
yum キャッシュを削除しておきます。
Zabbix 5.0 関連のパッケージをインストールします。
yum -y install zabbix-agent
yum -y install zabbix-get
Zabbix データベースとユーザーの作成
MySQLに、Zabbix用のデータベース(zabbix)とユーザー(zabbix)を作成します。
CREATE DATABASE zabbix character set utf8 collate utf8_bin;
CREATE USER zabbix@localhost IDENTIFIED BY '<パスワード>';
GRANT ALL ON zabbix.* TO zabbix@localhost;
quit;
Zabbix 用のデータベーススキーマとデータをインポート(時間がかかります)
Zabbix サーバーの設定と起動
Zabbix サーバーの設定ファイルに、先ほど作成したMySQLのユーザー(zabbix)のパスワードを登録します。
sudo vi /etc/zabbix/zabbix_server.conf
↓
DBPassword=<パスワード>
Zabbix サーバーのタイムゾーンを設定します。Apache httpd の設定ファイルではなく PHP-FPM の設定ファイルを変更します。(タイムゾーン はご自分の地域に合わせて設定してください)
sudo vi /etc/php-fpm.d/zabbix.conf
↓
php_value[date.timezone] = Asia/Tokyo
Zabbix サーバーの起動と自動起動設定
Apache httpd の起動と自動起動設定
PHP-FPM の起動と自動起動設定
動作確認用に Zabbix エージェントも起動しておきます。
Zabbix エージェントの動作確認(Zabbixのバージョンが表示されればOKです)
5.0.0
firewalld設定
HTTP(80/tcp) と HTTPS(443/tcp) を開けておきます。
sudo firewall-cmd --add-port=443/tcp --permanent
sudo firewall-cmd --reload
・確認
sudo firewall-cmd --list-all
interfaces: enp0s3 enp0s8
sources:
services: dhcpv6-client ssh
ports: 443/tcp 80/tcp ←この表示があればOK
(略)
Zabbix の初期設定
ブラウザで下記URLを開き、初期設定を開始します(IPアドレスはご自分の環境に読替えてください)
http://<IPアドレス>/zabbix/
「Next step」をクリックします。
すべて「OK」であれば「Next step」をクリックします。
「Password」欄に、MySQLのユーザー(zabbix)のパスワードを入力し「Next step」をクリックします。
そのまま「Next step」をクリックします。
設定した内容の最終確認です。間違えがなければ「Next step」をクリックします。
「Finish」をクリックすれば、初期設定完了です。
ユーザーパスワードと言語の変更
初期設定が終了すると、Zabbixのログイン画面が表示されますので、下の初期ユーザーとパスワードでログインします。
Username:Admin
Password:zabbix
[Administration]→[Users] をクリックします。
Alias列の「Admin」をクリックします。
Userタブを選択し、「Change password」をクリックします。
パスワードの入力欄が表示されますので、パスワードを入力し、
「Language」を「Japanese(ja_JP)」に変更したら「Update」をクリックします。
以上でZabbix管理画面が日本語表示になります。Zabbix 5.0 では、メインメニューが左に表示されワイドスクリーンに最適化されました。
メインメニューは隠すこともできます。小さい画面で Zabbix を使う場合に便利ですね。
初期状態でZabbixサーバー自身のホストが登録されていますので、しばらくしてから [監視データ]→[概要] で、「データの概要」を選択すると、Zabbixサーバー自身の監視データを閲覧することができます。
おわりに
Zabbix の特徴ともいえる上部のメインメニューが、サイドバーに変更されたことは正直おどろきましたが、ほとんど違和感なく使えます。メインの画面がスッキリしていいですね。
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