2020年10月26日、Zabbix 5.2 がリリース されました。約5ヶ月ぶりのバージョンアップです。Zabbix 5.2 では JavaScriptを利用した監視データ収集設定、収集済みデータの分析による障害検知、HashiCorp社のVaultとの連携など、魅力的な機能がたくさん追加されています。さっそく CentOS8 に Zabbix 5.2 をインストールする手順をまとめてみました。
Zabbix 5.2 の新機能と変更点
冒頭にも書きましたが、Zabbix 5.2 では多くの新機能が追加されています。
参考資料:
Zabbix 5.2の新機能
5 WHAT'S NEW IN ZABBIX 5.2.0 | Zabbix Documentation 5.2
細かい部分ですが、個人的には Webインターフェースからタイムゾーンの設定ができるようになったのが嬉しいところです。また、API監視が多くなった現在では JavaScriptを利用した監視データ収集とインターフェイスなしのホストを組み合わせて活用することが増えそうですね。
・タイムゾーンの定義
以前はphp.iniの「date.timezone」設定で設定されていたフロントエンドのタイムゾーンを、フロントエンドでグローバルに設定し、個々のユーザーに合わせて調整できるようになりました。・インターフェイスなしのホストの追加
インターフェイスなしでホストを追加できるようになりました。これは、トラッパーアイテムまたはWebチェックのみを持つホストに役立つ場合があります。5 WHAT'S NEW IN ZABBIX 5.2.0 | Zabbix Documentation 5.2 より引用(機械翻訳)
Zabbix 5.0 からの変更点として Zabbix 5.2 では PHP バージョン 7.2.5 以上が必須になっています。
2 REQUIREMENTS Required software | Zabbix Documentation 5.2
MySQL 8.0 のインストールと設定
Zabbix 5.2 のインストールの前に、下準備として MySQL 8.0 をインストールして設定しておきましょう。
MySQL 8.0 のインストール
sudo yum -y install mysql-server
・標準では MySQLのログの出力時間が UTC(協定世界時)になるため、MySQLの設定ファイルの最後の行に以下を追加します。(気にならなければそのままで構いません)
sudo vi /etc/my.cnf.d/mysql-server.cnf
MySQLの起動と自動起動設定
mysql_secure_installation の実行
初期状態では、rootユーザーがパスワードなしで MySQLに接続できるようになっていますのでパスワードを設定しておきます。
mysql_secure_installation コマンドを実行すると、root ユーザーのパスワードを変更し、不要なユーザーやDBも削除してくれます。パスワードは、8文字以上で英数大文字小文字と記号が含まれていないとポリシー違反で弾かれてしまいますので注意です。パスワードポリシーを変更したい場合は「--use-default」オプションなしで実行してください。
(略)
Please set the password for root here.
New password: <新しいパスワード>
Re-enter new password: <新しいパスワード>
(略)
Do you wish to continue with the password provided?(Press y|Y for Yes, any other key for No) : y
(不要なユーザーやDBを削除)
All done!
SELinux無効設定
・下記を変更
sudo vi /etc/sysconfig/selinux
↓
SELINUX=disabled
OSを再起動します
Zabbix 5.2 のインストール
本題の Zabbix 5.2 のインストールです。
Zabbix 5.2 の yum リポジトリを登録します。
yum キャッシュを削除しておきます。
Zabbix 5.2 関連のパッケージをインストールします。
sudo yum -y install zabbix-agent
sudo yum -y install zabbix-get
Zabbix データベースとユーザーの作成
MySQLに、Zabbix用のデータベース「zabbix」と、ユーザー「zabbix」を作成します。
CREATE DATABASE zabbix character set utf8 collate utf8_bin;
CREATE USER zabbix@localhost IDENTIFIED BY '<パスワード>';
GRANT ALL ON zabbix.* TO zabbix@localhost;
quit;
Zabbix 用のデータベーススキーマとデータをインポート(時間がかかります)
Enter password: ←(MySQLのユーザー「zabbix」のパスワードを入力)
Zabbix サーバーの設定と起動
Zabbix サーバーの設定ファイルに、先ほど作成した MySQLのユーザー「zabbix」のパスワードを登録します。
sudo vi /etc/zabbix/zabbix_server.conf
↓
DBPassword=<パスワード>
Zabbix サーバーの起動と自動起動設定
Apache httpd の起動と自動起動設定
PHP-FPM の起動と自動起動設定
動作確認用に Zabbix エージェントも起動しておきます。
Zabbix エージェントの動作確認(Zabbixのバージョンが表示されればOKです)
5.2.0
firewalld設定
HTTP(80/tcp) と HTTPS(443/tcp) を開けておきます。
sudo firewall-cmd --add-port=443/tcp --permanent
sudo firewall-cmd --reload
・確認
sudo firewall-cmd --list-all
interfaces: enp0s3 enp0s8
sources:
services: dhcpv6-client ssh
ports: 443/tcp 80/tcp ←この表示があればOK
(略)
Zabbix の初期設定
ブラウザで下記URLを開き、初期設定を開始します(IPアドレスはご自分の環境に読替えてください)
http://<IPアドレス>/zabbix/
Zabbix 5.2 ではインストール時にデフォルトの言語を選択できるようになりました。今回は日本語で設定しますので Default language「Japanese(ja_JP)」を選択します。
表示が日本語に変わったら「次のステップ」をクリックします。
前提条件のチェックがすべて「OK」であることを確認して「次のステップ」をクリックします。
「パスワード」欄に、MySQLのユーザー(zabbix)のパスワードを入力し「次のステップ」をクリックします。
そのまま「次のステップ」をクリックします。
GUIのデフォルト設定です。デフォルトタイムゾーン「Asia/Tokyo」を選択し、お好みのデフォルトのテーマを選択したら「次のステップ」をクリックします。
設定した内容の最終確認です。間違えがなければ「次のステップ」をクリックします。
「終了」をクリックすれば、初期設定完了です。
ユーザーパスワードの変更
初期設定が終了すると、Zabbixのログイン画面が表示されますので、下の初期ユーザーとパスワードでログインします。
ユーザー名:Admin
パスワード:zabbix
[管理]→[ユーザー] をクリックし、エイリアス列の「Admin」をクリックします。
「パスワード変更」をクリックします。
パスワードの入力欄が表示されますので、パスワードを入力し、「更新」をクリックすればユーザーパスワードの変更完了です。
言語やタイムゾーン、テーマのシステムデフォルトは、[管理]→[一般設定]→[表示設定] から変更できます。
初期状態でZabbixサーバー自身のホストが登録されていますので、しばらくしてから [監視データ]→[概要] で、「データの概要」を選択すると、Zabbixサーバー自身の監視データを閲覧することができます。
おわりに
Zabbix 5.2 は、メジャーバージョンアップ後はじめてのポイントリリースのためか、新機能が数多く追加されています。LTS(長期サポートリリース)の Zabbix 6.0 まで待つか、Zabbix 5.2 にアップデートするか迷うところですね。
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