もしこれから、会社や学校などのネットワークを設定しようとしているのなら、ネットワーク機器に初期設定されているプライベートIPアドレス「192.168.x.x」は使わないことをオススメします。その理由と対処法をまとめてみました。
理由1:家庭のネットワークアドレスと重複しやすい
最近ではテレワークなどで、自宅から会社にVPN接続することが多くなりました。
そこで問題となるのが、家庭のネットワークアドレスと会社のネットワークアドレスの重複です。ほとんどの家庭用のルーターは、「192.168.x.x」のネットワークアドレスが設定されているため、会社でこれと同じネットワークアドレスを使っているとかなりの確率でネットワークアドレスの重複が発生します。
ネットワークアドレスが重複している場合、そのネットワークに配置さてれいるパソコンやサーバーとの通信はできません。どちらか一方のネットワークアドレスを変更するか、NAT(ネットワークアドレス変換)を行う必要があります。
理由2:他の会社のネットワークアドレスと重複しやすい
最近ではM&Aや事業譲渡などで、さまざま会社や組織が合併されることが多くなりました。
合併した会社が同じネットワークアドレスを使っていた場合、会社の拠点間をVPNや専用線で接続しても通信ができません。同じ拠点で別ネットワークとして運用するにしても同じ問題が発生するため、これもまたどちらか一方のネットワークアドレスを変更するか、NAT を行う必要があります。
理由3:ネットワークアドレスを変更するのは恐ろしく大変
ならば、ネットワークアドレスを変更すればよいのでは? と思うかもしれませんが、ネットワークアドレスを変更するには、ルーターだけではなく、そのネットワークに配置されているパソコンやサーバー、プリンターなどすべてのネットワーク機器のIPアドレスを変更する必要があるため、かなりの作業量になります。
しかも、IPアドレスの変更中はネットワーク通信ができなくなるため、休日など利用者がいない時に一気に行わなければなりません。
また、ネットワークに配置されているパソコンやサーバーなどの所在を完璧に把握していないと、IPアドレスの変更漏れが発生して、トラブルの原因にもなります。実際にはほとんどの場合IPアドレス変更後のトラブルは避けられないでしょう。
対処法
対処法としては クラスA もしくは クラスB のプライベートIPアドレスを、範囲の途中から使うことをオススメします。それでもネットワークアドレスが重複する可能性はありますが、「192.168.x.x」のネットワークアドレスを使うよりも重複する可能性が格段に可能性が低くなります。
クラス | 範囲 | 用途 |
---|---|---|
クラスA | 10.0.0.0~10.255.255.255(オススメ!) | 大規模 |
クラスB | 172.16.0.0~172.31.255.255(オススメ!) | 中規模 |
クラスC | 192.168.0.0~192.168.255.255 | 小規模 |
元々はクラスAは大規模用、クラスBは中規模用、クラスCは小規模用とされていたため、ほとんどの場合クラスCのプライベートIPアドレスすなわち「192.168.x.x」が使われることになりました。
しかし、現在ではクラスレスという仕組みが一般的になったため、小規模なネットワークでもクラスAやクラスBのプライベートIPアドレスを適切なサブネットマスク(例えば 255.255.255.0)で使えばまったく問題ありません。
おわりに
ネットワークアドレスを「192.168.x.x」にしなければよかった、、と思っているネットワーク管理者は私だけではないはずです。後悔のないようにしましょう。
コメント
記事に大きな誤りがありますので記載いたします。
Aグループの192.168.x.xとBグループの192.168.x.xは全く別物なので関係ないです。
重複とかしないです。
例えば、Aグループの192.168.0.2からBグループの192.168.0.2へ通信する場合、間にお互いのルーターを経由しグローバルIPアドレスを経由して別グループのプライベートあIPアドレスに変換されます。
>匿名さん
コメントありがとうございます!
おっしゃる通り、AグループとBグループそれぞれでグローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスをマッピングしていれば通信ができるのですが、
AグループとBグループ(記事では家庭と会社と表現しています)がVPN接続し、直接プライベートIPアドレスを指定して通信する場合は、
Aグループから ping 192.168.0.2 を実行すると、Aグループの192.168.0.2と通信しようとしますので、
Bグループの192.168.0.2とは通信できなくなります。そのため、このような記事の内容になっております。